




まず、形が良いことが条件です。穂首の部分がでこぼことしている形の悪い筆は避けましょう。
試筆を置いている売り場もありますので、実際に触れてみたり、使い心地を試したりしてみるのも良いでしょう。
【毛筆】
初めて書を学ぶ時におすすめなのは、短峰(穂先4〜5cm程度、穂首の経1.2〜1.3mm程度の、太さに対して長さが短めのもの)で、馬毛が多く入っている剛毫筆(弾力のあるもの)や兼毫筆が書きやすいでしょう。
【画筆】
画筆は、その用途に合わせて、かなり種類が豊富です。毛の種類によって書き味がかなり異なります。また、形状も様々です。描きたいものにあわせて上手に使い分けましょう。
【化粧筆】
化粧筆も画筆同様にたいへん多くの種類があります。
口紅用の筆はイタチ毛で作られた物の方が、コシが強く扱いやすいようです。
頬紅やアイシャドウなどの粉の化粧品をのせるための筆は、リスなどのやわらかい毛の筆の場合は、ゆっくりと発色していくので、ふんわりと色をのせたい場合におすすめです。一方、イタチや馬などの強めの毛で作られている物を使うと、色がしっかりと入ります。自分の化粧にあわせて素材をよく吟味しましょう。
●用途に合った筆を選ぼう 〜『良い筆』の選び方のコツ〜
『値段の高い筆が良い筆なのですか?』とお客様から聞かれることがあります。
確かに、高い技術に裏打ちされた品質を持つ商品に、ある程度の値段がつけられているのは一般的ですが、それ以外に、素材の違いによる値段の差があります。
例えば毛筆の場合、馬の毛で作った筆と、ヤギの毛で作った筆とでは、馬の毛のほうがヤギの毛より安価で手に入るため、馬毛の筆の方が安い傾向があります。
では、例外なく馬毛の筆よりヤギの毛の筆の方が良いのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。これから書を始めようとする人には、柔らかいヤギの毛では扱いづらいでしょうし、勢いのある渇筆(わざと、かすれを出す書き方)を活かした作品を書こうとするときには、柔軟なヤギの毛の筆よりは、むしろ力強い馬の毛の方が使いやすいかもしれません。
一方、柔らかな曲線を活かした、ぽってりとした字を書きたいときには、ヤギの毛の筆が、遺憾なくその持ち味を発揮することでしょう。
いくら値段が高い筆を選んでも、用途に合っていなければ、一概に『良い筆』とは言えないようです。
わたしたちと同じように、筆にもそれぞれ個性があります。自分の用途に対して使いやすい性質を持つ筆こそが、自分にとっての『良い筆』と言えるでしょう。

筆は、お店で買ったときには、ほとんどの物が毛先を糊固めされてキャップをかけられています。
使う前にはやさしく穂先をほぐし(力を入れすぎると、毛が折れたり切れたりする原因になります)、糊を取りましょう。

筆は基本的には消耗品なのですが、手入れ次第でその寿命は大きく変わります。
正しく手入れをして、長く愛用していただければ幸いです。
※一般的な手入れ方法をご紹介しています。詳しくは、筆をお買い求めになった販売店等にお尋ね下さい。
【毛筆】
根元までほぐして使用した筆の場合は、毛についている墨を根元まできれいに洗い落としてください。
きれいになったら、毛を整え(毛がゆがんだままで干すと、そのままの形で癖がついてしまいますので、必ずまっすぐに整えてから)、なるべく穂首を下向きにして(筆の後ろについている紐でつるすなど)風通しの良い日陰で乾燥させてください。
根元までほぐさずに使用した小筆などは、固まっているところをほぐさないで、水をしみこませた半紙で、墨が出なくなるまでぬぐってください。
キャップをかける場合は、必ずよく乾燥させてからにしてください。カビや切れ毛の原因になります。
【画筆】
毛筆同様、毛についている絵の具をしっかりと洗い、水気を切り、風通しの良い日陰で乾燥させてください。油彩などの水では落ちにくい画材を使用した後の場合は、固形石鹸(薬用は不可)を使って洗うのも良いでしょう。
【化粧筆】
用途によって多少の手入れの違いはあるのですが、基本は使用後すぐに筆に残っている粉や口紅を落とすことです。粉の場合は、タオルなどの凹凸のある布を用意しておき、筆でその布の表面を軽くなでるようにすると、粉が取れます。櫛をかけておくのも良いでしょう。
口紅の場合は、ティッシュでぬぐっておきます。
皮脂汚れがひどい場合は、洗っても差し支えありません。ぬるま湯にシャンプーを薄くといて洗い、よくすすぎをし、形を整えてから風通しの良い日陰で乾燥させます。