熊野筆
よくある質問
児童生徒向け回答集
熊野の筆作りは、江戸時代の末ごろからはじまったと言われています。当時の熊野の人々は、主に農業でくらしを立てていましたが、農地も少なく、それだけでは生活を支えきれず、農業の暇な時期には、出稼ぎに出ていました。出稼ぎの帰りには奈良や大阪、有馬(兵庫県)地方で筆や墨を仕入れて、売りながら熊野に帰っていました。これが熊野と筆との結びつきのきっかけとなります。一方、同じくらいの時期に、井上治平(井上弥助)が、広島藩の筆作りの職人さんから、また佐々木為次や乙丸常太(音丸常太郎)は、有馬で筆作りを習って帰り、人々に筆作りを広めたと言われています。
馬、タヌキ、イタチ、鹿、ヤギなどです。
昔から熊野には、技術はありますが、毛や竹など筆に使う材料はありません。
毛の約90%は、中国から輸入しています。他に、ヨーロッパ産や北アメリカ産が少し入ります。馬やタヌキなどは日本産の毛が良いのですが、昔のようにたくさんの馬は、日本にはいませんし、タヌキも山にとりに行く人もいません。それで、日本産の毛は、ほとんど手に入りません。
また、軸の原料となる竹は、主に岡山県や兵庫県から買っていますが、中国や韓国、台湾などの外国からも輸入しています。竹以外では、木(主に桜の木、メイプル=けやき系)やプラスチックが使われます。
毛の約90%は、中国から輸入しています。他に、ヨーロッパ産や北アメリカ産が少し入ります。馬やタヌキなどは日本産の毛が良いのですが、昔のようにたくさんの馬は、日本にはいませんし、タヌキも山にとりに行く人もいません。それで、日本産の毛は、ほとんど手に入りません。
また、軸の原料となる竹は、主に岡山県や兵庫県から買っていますが、中国や韓国、台湾などの外国からも輸入しています。竹以外では、木(主に桜の木、メイプル=けやき系)やプラスチックが使われます。
熊野では、毛筆、画筆、化粧筆を生産しています。
筆は、組み合わせる動物の毛の割合で、かたさ(強さ)や使い心地などが変化しますし、用途も様々ですので、何種類の筆があるのか答えは出ませんが、大きく分けると次のようになります。
【毛筆の種類】
特大筆、太筆、中筆、小筆、面相筆や、特殊な筆として、竹や木の筆、もち米の「わら」で作ったわら筆、たんぽぽの種子についている綿毛で作った筆、孔雀や白鳥などの鳥の羽で作った筆などがあります。
また、かたさ(強さ)によって分けると次のようになります。
●羊毛筆(ヤギの毛で作ったやわらかい筆)
●兼毫筆(中間のかたさの筆)
●剛毫筆(かたい毛を使った腰の強い毛)
【画筆の種類】
洋画筆、水墨画用筆、日本画用筆、工芸筆などに分けられます。使い方に合わせて大きさや形は様々です。
【化粧筆の種類】
筆を使う顔の場所や、化粧の方法の違いに応じて、様々な大きさと種類に分かれています。
特別な筆をのぞいて、1本、1本作るのではなく、100本、200本とまとめてそれぞれの工程を経て作りますし、値段により作る時間も違いますので、1日に何本という答えは出ませんが、たとえば、学童用の筆の場合、1ヶ月に1人の職人さんが1,200本の筆を作るとすると1日約50本の筆を作ることとなります。そして、1日8時間働いて50本作るとすると、1本が約10分となります。また、もし1本だけで作るとしても約20日くらいかかります。これは100本、200本で作る場合でも同じくらいの日数がかかります。
材料が豊富にあり、賃金が安い中国で作られた筆が多く輸入されたり、日本の景気が悪く、買いひかえもあり、以前よりも生産本数が少なくなっています。また、筆を使う人の数が少なくなっているのも、生産本数が少なくなってきた理由のひとつです。
日本の筆を作る技術は、日本での使い方(漢字やひらがなの混ざった文字を書く)に合った筆になるように工夫されており、筆での使いやすさに関しては、日本の方がはるかにすぐれています。しかし、値段の競争では中国にかないません。そこで安い中国の筆に負けないために、今まで以上に技術の向上に努め、使う人の立場になって、良い筆を作ることができるよう努力しています。
筆作りの中で大切で苦労することは、筆の出来ぐあいを決める『毛組』という工程です。注文された筆により毛を選び、その毛を組合わせます。この工程により、書味がずいぶんと違ってきます。
次に形の良い筆を作ることです。筆を買うときには、必らず形の良い筆を選んでください。穂首(毛の部分)がでこぼことしている形の悪い筆は、良い字が書けません。
良い筆ができ、注文した人、使った人から良い筆と評価してもらったときです。
北は北海道、南は沖縄まで日本全国各地へ販売しています。
毛筆は、輸出していません。逆に中国から輸入されています。
画筆と化粧筆はアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各国にたくさん輸出されています。
画筆と化粧筆はアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各国にたくさん輸出されています。
伝統工芸にかかわっている産地であれば、どこでも同じように後継者の問題を抱えていると思いますが、筆作りの場合、約3年弟子入りし、一人前の職人として認められるのには、10年以上かかるたいへん根気のいる仕事です。また、会社に勤めれば、その日から給料がもらえますが、一人前の筆が作れるようになるまでは、満足する収入は得られません。したがって、後継者は思うようには育ちません。
数年前までは、家事をしながら家で仕事ができるということで、自分の子供が小学校に入り、時間にゆとりがあるようになったら再度、筆の作り方を習う人もいましたが、これも減少し現在では、職人数は不足しています。そこで、初心者や今まで以上に良い筆を作りたい職人さん達のために、技術の向上をめざして、熊野筆会館で伝統工芸士の方々が、毎月1回筆作りを教えています。
数年前までは、家事をしながら家で仕事ができるということで、自分の子供が小学校に入り、時間にゆとりがあるようになったら再度、筆の作り方を習う人もいましたが、これも減少し現在では、職人数は不足しています。そこで、初心者や今まで以上に良い筆を作りたい職人さん達のために、技術の向上をめざして、熊野筆会館で伝統工芸士の方々が、毎月1回筆作りを教えています。
『筆の里工房』ホームページ https://fude.or.jp/
これまでに40名の認定者がいましたが、死亡や年齢の関係で仕事をやめる人もおられ、現在は、13名です。
筆の使用後には、毛についている墨を水で根元まで、きれいに洗い落としてください。きれいになったら、風通しの良い日かげで、なるべく穂首を下向きにして乾燥させてください。墨がついたまま長時間放置していると、毛が痛んだり、切れたりして使えなくなることがあります。また、しっかりと乾燥していない筆にキャップをすると、カビが発生しますので、必ず乾燥してからキャップをしてください。
根元までくずしていない小筆などの場合は、墨のついた部分に水をつけ、紙でふき取ってください。
根元までくずしていない小筆などの場合は、墨のついた部分に水をつけ、紙でふき取ってください。
(1) 筆作りが始まった頃から昭和20年代まで、周囲を山に囲まれた熊野町では、交通の便が悪く、ほかの町に働きに出ることが困難であり、また、他の産業が入らなかったため。
(2) 自宅で仕事ができるので、子供を育てながらでもできる。
(3) 子供の頃から筆作りを見ているので、仕事を早く覚える。
(4) 最初から有馬(兵庫県)のすぐれた技術を取り入れた。(当時の有馬は、他の産地よりすぐれた技術を持っていた。)
(5) すぐれた技術者が町内にたくさんいるため、習いやすい。
(6) 穂首作りは、すべて手作業のため、長い年月をかけて特別な技術を習う必要があり、筆の産地以外では、筆作りを教えてくれる人がいなく、習うことが困難であった。
(7) 熊野町では、多くの人々が筆を作っているので、多品種、大量の注文に応じられる。
(8) 他の筆製造産地が少なくなった。(昔の筆記用具は、毛筆だけだったため、全国各地で筆を製造していた。)
(9) 毎月一回後継者育成のため、勉強会を開催している。
(10) 熊野町の主な産業であり、町をあげて、筆づくりに熱心である。
(2) 自宅で仕事ができるので、子供を育てながらでもできる。
(3) 子供の頃から筆作りを見ているので、仕事を早く覚える。
(4) 最初から有馬(兵庫県)のすぐれた技術を取り入れた。(当時の有馬は、他の産地よりすぐれた技術を持っていた。)
(5) すぐれた技術者が町内にたくさんいるため、習いやすい。
(6) 穂首作りは、すべて手作業のため、長い年月をかけて特別な技術を習う必要があり、筆の産地以外では、筆作りを教えてくれる人がいなく、習うことが困難であった。
(7) 熊野町では、多くの人々が筆を作っているので、多品種、大量の注文に応じられる。
(8) 他の筆製造産地が少なくなった。(昔の筆記用具は、毛筆だけだったため、全国各地で筆を製造していた。)
(9) 毎月一回後継者育成のため、勉強会を開催している。
(10) 熊野町の主な産業であり、町をあげて、筆づくりに熱心である。
令和4年度に調べたところ、およそ以下のとおりです。
(販売量) | (販売額) | |
毛筆 | 320万本 | 20億円 |
画筆 | 680万本 | 25億円 |
化粧筆 | 1,400万本 | 51億円 |
計 | 2,400万本 | 96億円 |
約2,000人です。(令和4年現在)