解きながらわかる熊野筆
その2 解説

第一章 熊野町と熊野筆の歴史

解きながらわかる熊野筆その2

「筆の町、熊野の現在の取り組み」

【問題14】熊野筆の統一ブランドマークはアルファベットの一文字をかたどっています。それはなんでしょう。

Kマーク

【答え】熊野の頭文字「K」

【解説】
熊野筆事業協同組合は、平成16 年12月に「熊野筆」という団体商標登録を取得しました。これにもとづき、「熊野筆」の統一ブランドマークを制作しました。
これは、製品の統一ブランドマークを表示することで、熊野製の筆であることが消費者にわかりやすく知らせることができるとともに、他製品との差別化を図ることを目的としています。さらに、現在まで熊野で培ってきた技術力・品質・信頼性などをもとに、製造業者が一致団結して、より一層すぐれた筆づくりを行うことを目的としています。

【問題15】熊野筆の統一ブランドマークの黒は「書」、黄は「画」を表現しています。さて、赤は何を示しているでしょう。

【答え】化粧

【解説】
この統一ブランドマークは、KUMANO FUDEの頭文字の「K」であり、3本の線は、書(黒)・化粧(赤)・画(黄)の世界を表し、動きは協同と成長を意味しています。また熊野筆を生み出す3つの資源である「地域」「人」「伝統」も象徴しています。
躍動感のある動きには、新しさと進化の意味を込めています。

【問題16】平成20 年、筆の里工房の筆文化支援事業により熊野町のキャラクターが誕生しました。さて、そのかわいらしいキャラクターの名前はなんでしょう。

【答え】ふでりん

【解説】
熊野町のキャラクターは「ふでりん」と言います。ふでりんは誕生以来、様々なイベントに登場して活躍してきました。それが認められ、ふでりんは熊野町観光PR キャラクターになり、平成24 年10 月1 日には「熊野町観光大使」としての委嘱を受け、特別住民票も交付されました。

【問題17】特別住民票を交付されたふでりんの現住所は熊野町役場内となっています。ところがふでりんは、それ以外にも別荘も持っているそうです。それはどこでしょう。

【答え】筆の里工房筆箱の中

【解説】
ふでりんのモデルとなったのは、筆の里工房にある大変貴重な筆、木村陽山コレクションの中でも、最も大きく華やかに製作された嵯峨天皇の筆です。常設展示されているので、筆の里工房で見ることができます。

【問題18】ふでりんもおすすめの、熊野町のご当地グルメはなんでしょう。

【答え】ふわふわ納豆焼き

【解説】
ふでりんのプロフィールとして次のように記されています(一部のみ掲載)。
出身:熊野町ふでりんの森 現住所:熊野町役場内ふでりんの館5602 号室
別荘:筆の里工房 筆箱の中 大好物:ふわふわ納豆焼き
趣味:絵てがみ 大好きな言葉:ありがとうりん

【問題19】熊野化粧筆に、熊高生が独自にデコレーションして販売した筆の名称はなんでしょう。

【答え】萌筆

【解説】
熊野高校は、平成23 年に広島県教育委員会主催の「高校生の『起業家精神』育成事業」に参加しました。
生徒たちの「熊野町の伝統工芸を継承したい、また、地元の文化・産業を支えることに貢献したい」との思いから、平成24 年、美術部が中心となって熊野化粧筆にスワロフスキーをあしらった「萌筆Moe FUDE」を制作しました。
「萌筆」は熊高祭(文化祭)で生徒会が販売し、4 本セット100 組を完売しました。また、平成25 年も「萌筆Ⅱ」を制作し、生徒会が熊高祭や熊野町の筆まつりで販売しました。

【問題20】熊野筆には、ブランドマ-クで表現されているように「毛筆・化粧筆・画筆」がありますが、画筆の中で、ある特定の用途に使うために特別に研究、開発されたものがあります。これは近年、日本の文化が世界中で評価される上で重要な役割を果たしていますが、この筆の用途はなんでしょう。

【答え】アニメ-ションの背景制作

【解説】
近年の絵筆は職人の技術力や原料の低下等により、品質低下の傾向にあり、繊細でハイレベルなアニメーションの背景画を描くアニメ業界では、それに対応できる筆を求めていました。そんな時、アニメーション制作会社のスタッフの方が、日本一の筆産地である「熊野町」に注目し、アニメ用の筆の開発を依頼しました。
依頼を受けた会社では、これまで日本画筆で培った伝統技術を応用し、一本の筆で細かい線から広い面まで描けるオールマイティな筆の開発に成功しました。
試行錯誤の上に開発されたこの筆は、十数種類の毛の配合割合と穂先の形にノウハウがあり、アニメ筆として重要な要素となる穂先のまとまり、適当な弾力、色含みの良さ、しなやかな描き心地を実現するとともに、筆の寿命を延ばした点も評価されることとなり、日本だけでなく、海外のアニメ業界からも注目を集めることとなりました。

【問題21】平成25 年秋に、熊野町にある「筆の里工房」で企画展示が行われた、国内外に熱烈なファンを多く持つ、青森県生まれで熊野筆にゆかりの深い世界的板画家は誰でしょう。

【答え】棟方志功

【解説】
明治33 年創業の「仿古堂」には、日本が誇る世界的板画家「棟方志功(1903-1975)」が筆の注文のためにしたためた手紙や、版画、また晩年に描かれた「だるまの絵手紙」など、志功の貴重な真筆が大切に保管されています。平成25 年秋には、それらの作品や直筆資料とともに、志功の故郷である青森の美術館志功が所蔵する「イ方古堂に注文して作らせた筆を使って描いた作品」が、筆の里工房のギャラリーで展示され、盛況を博しました。

【問題22】熊野町では「(一財)筆の里振興事業団」の主催で「ありがとう」をテーマに作品を募集し、平成9 年から全国規模の作品コンテストを開催しています。海外からも作品が応募され、8千作品以上もの作品が集まるこのコンテストは、なんのコンテストでしょう。

【答え】絵てがみ

【解説】
今年(令和6年)で26回目となる「筆の里ありがとうのちょっと大きな絵てがみ大賞」では、毎年日本国内外から多くの作品が届いています。近年は、毎年8千点もの「絵てがみ」作品が応募されています。作品規定は70 ㎝×35 ㎝以内という、絵てがみとしてはかなり大型のもので、棟方志功の作品を思わせるような力作や味のある作品など、質の高い絵てがみ作品が熊野町に集まります。5月から9月にかけて応募された作品(一般の部・子どもの部)は、審査が行われた後、11 月から翌年1月までの間、「筆の里工房」で展示されます。

【問題23】絵てがみを通じた筆の街の交流拠点として作られた「筆の街交流館」では、熊野高校の芸術類型書道コースの生徒作品なども展示をさせて頂いています。さて、この交流館の愛称はなんでしょう。

【答え】K-JIN

【解説】
筆の街交流館の正式な名前は「筆の街交流館K-JIN」といい、その建物は大正10 年から昭和38年まで熊野町役場の一部として使われていました。その後、筆の原毛店が刷毛工場として利用していましたが、平成22 年9 月に「絵てがみを通じた筆の街の交流拠点」としてオープンしました。
K-JINの名の由来は、以前使われていた字名(あざな)の慶神(けいじん)と熊野の頭文字「K」、協働の頭文字「K」を掛け合わせたものです。
「筆の街交流館K-JIN」では「筆の里ありがとうのちょっと大きな絵てがみ大賞」の公募事業やギャラリーでの作品展をはじめ、絵てがみや筆づくり体験も実施しています。