解きながらわかる熊野筆
その6 解説

第二章 熊野筆のつくり方

解きながらわかる熊野筆その6

「軸づくり」・筆づくり最後の工程「熊野筆の誕生」

【問題50】軸を選んだ後、軸の曲がりを直す作業(工程②)を行います。 この工程を「ため」と呼び、「ため木」という道具を使いますが、軸の曲がりを直すために何をするでしょう。

【答え】火で温める

【解説】
軸をまっすぐにするには火で温めてから「ため木」にはめて矯正していきます。

【補足】
工程① 軸を選ぶ 工程② 軸の曲りを真っ直ぐに直す。 工程③ 軸を注文の長さに切断する。工程④ 長さを整えてから、穂首のつく反対側に「部品」を接着する。工程⑤ 軸の太さにあわせて工程④の「部品」を削る。 工程⑥ 軸を水で荒磨きしたのちに、「あるもの」を使って仕上げる作業で、この工程を「軸みがき」という。工程⑦ 磨き終わると、工程④で接着した「部品」にかけひもをつける。工程⑧ 最後に軸の先に穂先の接着基部をとりつける。(※取り付けない筆も多い)

【問題51】軸づくり工程④⑤⑦(逆毛/すれ毛取り・寸切り・芯立て)の部品は、現在では木やセルロイド(樹脂)などで作られています。この部品をなんというでしょう。

【答え】コツ

【解説】
紐をつけるための、筆の穂首の反対側につける部品を、昔は骨(こつ)で作っていたので「コツ」と呼ばれています。また、以前はコツの代わりに細い竹を詰める「尻詰め」が主流で、「籐詰め」と呼ばれる、籐で軸の穴をふさぐ筆もありました。

【補足】
工程① 軸を選ぶ 工程② 軸の曲りを真っ直ぐに直す。 工程③ 軸を注文の長さに切断する。工程④ 長さを整えてから、穂首のつく反対側に「部品」を接着する。工程⑤ 軸の太さにあわせて工程④の「部品」を削る。 工程⑥ 軸を水で荒磨きしたのちに、「あるもの」を使って仕上げる作業で、この工程を「軸みがき」という。工程⑦ 磨き終わると、工程④で接着した「部品」にかけひもをつける。工程⑧ 最後に軸の先に穂先の接着基部をとりつける。(※取り付けない筆も多い) 

【問題52】工程⑥の、軸磨きに使う「あるもの」とはなんでしょう。

【答え】蠟(ろう)

【解説】
軸を磨くためには蠟(ろう)を使用しています。表面を 軸磨きなめらかにし、水にも強い軸が出来上がります。

【補足】
工程① 軸を選ぶ 工程② 軸の曲りを真っ直ぐに直す。 工程③ 軸を注文の長さに切断する。工程④ 長さを整えてから、穂首のつく反対側に「部品」を接着する。工程⑤ 軸の太さにあわせて工程④の「部品」を削る。 工程⑥ 軸を水で荒磨きしたのちに、「あるもの」を使って仕上げる作業で、この工程を「軸みがき」という。工程⑦ 磨き終わると、工程④で接着した「部品」にかけひもをつける。工程⑧ 最後に軸の先に穂先の接着基部をとりつける。(※取り付けない筆も多い) 

【問題53】工程⑧で取り付ける右の写真のような接着基部を、一般的になんと呼んでいるでしょう。

【答え】だるま

【解説】
穂首と軸の接合部である、写真の黒い部分を「だるま」などと呼びます。直接軸に穂首を取り付ける筆も多く、こうした筆には「だるま」などの部品は付きません。

【補足】
工程① 軸を選ぶ 工程② 軸の曲りを真っ直ぐに直す。 工程③ 軸を注文の長さに切断する。工程④ 長さを整えてから、穂首のつく反対側に「部品」を接着する。工程⑤ 軸の太さにあわせて工程④の「部品」を削る。 工程⑥ 軸を水で荒磨きしたのちに、「あるもの」を使って仕上げる作業で、この工程を「軸みがき」という。工程⑦ 磨き終わると、工程④で接着した「部品」にかけひもをつける。工程⑧ 最後に軸の先に穂先の接着基部をとりつける。(※取り付けない筆も多い) 

【問題54】穂首と軸を接合して筆を仕上げていきます。この作業により普段私たちが手元で使う筆が誕生します。これには大きく分けて3 つの工程があります。 工程① くり込み 工程② 仕上げ 工程③ 銘彫刻 仕上げ作業で、不必要なのりをしぼりだすのにどのような方法を行っているでしょう。

【答え】糸を巻きつけて筆を回転させながらしぼりとる

【解説】
台に固定された糸を穂首に巻きつけ、まわしながら不要な糊や毛などを取り除きます。

【補足】
工程① 穂首を軸に接着する工程を「くり込み」といいます。一定の長さの軸を回転させながら、小刀で穂首をはめる部分の厚みを調整し、穂首を接着剤で軸に固定します。右の写真は軸に接着剤を塗っている作業です。これに穂首をはめ込んで接着します。
工程② 「仕上げ」は、糊を穂に充分含ませてから、不必要な糊を後でしぼりとります。

【問題55】銘彫刻はある特徴的な彫り方をします。それはどのようなものでしょう。

【答え】書き順の反対のコースをたどって彫っていく

【解説】
彫刻の方法は、軸に三角刀をあて、軸のほうを動かして、書き順の反対のコースをたどって彫っていくやり方です。
彫りあがった部分には、顔料を入れるなどして、ようやく1本の筆が出来上がります。

【補足】
工程③ 形を整え、乾燥させてから最後に筆に銘を入れます。この工程は「銘彫刻」といい、軸の部分に筆の名称などを彫刻する工程です。